遺産分割協議2(分割協議対象の相続財産とは)

遺産分割協議2(分割協議対象の相続財産とは)

分割協議対象の相続財産を説明します。

分割協議の対象となる相続財産とは

遺産分割協議の対象となる財産

  • 対象:相続開始時に存在し、かつ遺産分割時に存在する不動産、金融資産、動産などのプラスの財産。
  • 例外:全員の合意により遺産分割協議前に処分された財産も含めることが出来ます。

遺産分割協議の対象とならない財産

財産 理由
一身専属権

(民法の規定がある)
代理権、使用貸借における貸主の地位、雇用契約上の地位、組合員の地位、配偶者居住権、配偶者短期居住権等は本人の死亡時に消滅するなどと規定されているため。
(その他)
生活保護受給権、年金受給権、芸術作品を作る債務などは相続財産に属さないため。ただし、債権が確定している場合は、相続の対象となります。

仏壇、神棚、お墓、位牌、遺骨などの祭祀(さいし)財産 慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するため。
生命保険金や死亡退職金 受取人が指定されているため。
被相続人の損害賠償請求権 法定相続分に応じて分割するため。
未払いの税金や医療費、金銭債務など

相続債権者に対しては、遺産分割協議の効力は及ばないため。
ただし、相続人間で負担割合を協議することは有効です。

遺言書がある場合

  • 遺言書がある場合は、記載のとおり被相続人の意向を尊重しますが、遺言書に記載されていない財産は遺産分割協議の対象となります。
  • 遺言の分け方に納得がいかず、相続人の全員が別の分け方にすると同意したときは、遺産分割協議で遺言とは別の分け方にすることができます。

民法と相続税法の取扱の違い

  • 相続税の課税価格は、[土地家屋・預貯金などの本来の財産の価額]+[生命保険などのみなし財産の価額]+[相続時精算課税適用財産の価額]-[債務及び葬式費用の額]+[被相続人からの7年以内の贈与財産の価額]と計算されます。
    民法で分割協議の対象とされない財産も加えて計算します。
  • 相続税の課税価格が、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)をこえる場合、相続税の納税を意識した分割方法も考慮する必要があります。
  • 資産が多い場合、財産調査に時間がかかるため、士業などの専門家に依頼することも考慮してください。